【教員採用試験】論作文って何?という方へ。内容と対策方法を解説
「教員採用試験の論作文って、どんな試験なんだろう。。。論作文の対策はどうすればいいのかなぁ。。。」
このような疑問に答えます。
近年では、「人物重視」という言葉をよく耳にしますね。大学入試も就活も、今までの「学力重視」から、その人の性格・個性をみた選抜へとだんだん変わりつつあります。
教員採用試験でも「人物重視」の傾向が強くなってきており、教員としてふさわしいかを判断するために、論作文や面接といった試験が実施されています。
今回は、論作文の内容・対策についてまとめました。
自治体によって、論作文を設けていない場合があります。この記事を読む前に、自分が受ける自治体の試験に「論作文(小論文)」があるかどうかを調べておきましょう。
教員採用試験の論作文とは
論作文のねらい
一般・教職教養では、教員として十分な知識が備わっているかを判断します。しかし、「教員としての適正」を見るには、やはり筆記だけでは難しいことがあります。
そのため、志望者が「教員としてふさわしい人物なのか」を判断するために、論作文が課される場合があります。
では、論作文を通して、採点側は志願者の何をみようとしてるのでしょう。次の4点をご覧ください。
- 基礎的な知識が備わっているか
- 教員としての教育課題に対する理解、および対応力・解決力があるか
- 論理的に展開できているか
- 教員としての熱意があるか
論作文では、「自分の考え」を述べることが大切になります。また、「教師に対する熱意」や「教師になるための人間性が備わっているか」まで問われます。
もちろん、教員として最低限の知識が備わっているかもみられますが、知識があるだけでは合格できないのが論作文です。
その知識を使い、教育課題に対して自分ならどう対応するのかを、論理的かつ具体的に書かなければなりません。
教育課題とは
簡単に言えば、教育現場をとりまく課題のことです。たとえば。。。
- 信頼される学校づくり
- 心地よい学級づくり
- いじめ・不登校問題
- 学習習慣の確立
- 分かる授業の展開 など
教育現場にはさまざまな課題がありますが、これらがそのまま論作文のテーマになります。
このような課題に対して 「教員として自分ならどう解決するか?」 を具体的に書く必要があるのです。
具体的な対応策とは
教師としての経験がない受験生とって、具体的な対応策を考えることは難しいと思います。なぜなら、
- 現場でさまざまな課題に直面した、という経験がない
- それに対してどう取り組むべきか、というビジョンがない
そのため、論作文の内容が「机上の空論化」してしまうことがあります。それでは、採点者を納得させることができます。
具体的な対応策には、実行可能・実効性のあるものが必要です。採点者がそれを読んだ時に、「これなら課題に直面しても、この人なら解決できそうだな」と納得させることが大切です。
字数・時間制限
字数制限・時間制限は自治体によって変わります。
最も多いスタイル :「800 字以内・60 分」
最長(和歌山県) :「2000 字以内・90 分」
最短(京都市) :「400 字以内・20 分」
文字数は、だいたい9割まで書くのがベストです。800 字であれば、720〜800 字に収められるといいでしょう。
ここまでの内容をまとめます。
- 教員視点に立って自分の意見を論じる
- 実現性・実効性の高い対応策を書く
- 字数制限では9割以上を目指す
論作文の対策手順
それでは、ここから対策方法について紹介します。次のような手順がおススメです。
- 過去問を分析する
- 評価の観点を分析する
- 「教員に求められる資質能力」を参照する
- 書き方のパターンを覚える
- たくさん書く
- 添削を受ける → 書き直す
① 過去問を分析する
過去問分析では、次の内容を必ず確認しましょう。
時間配分は?
字数制限は?
今までにどのようなテーマが出されてきたか?
筆記試験でも論作文でも、過去問分析が一番大切です。これによって、問題の傾向をつかむことができます。
むやみに対策を始めても、ゴール地点がみえなければ頑張り続けることができません。勉強内容を絞ることもできませんよね。
まずは過去問をしっかりと読み込みましょう。
② 評価の観点を分析する
自治体によっては、論作文の評価の観点をホームページで掲載している場合があります。
たとえば、神奈川県の場合では、次のように論作文の評価が公開されています神奈川県 HP より引用
- 文字数(600 字以上 825 字以下)
- 文章の構成
- 分かりやすさ
- 表記の正確さ(誤字、脱字)
- 着想
- 論旨、結論(明確さ、説得力)
- 自分の考え
受験する自治体では、どのような内容が評価をされるのかをあらかじめ調べておきましょう。
③ 「教員に求められる資質能力」を参照する
文部科学省では「教員に求められる資質能力」というものを掲載しています。論作文を書く際に、これらの内容を少しでも盛り込めるといいと思います。
また、各自治体では「求める教員像」というものがホームページで挙げられています。実は、論作文でこれらの内容に関連する問題が出題されることもあります。
受験する自治体の「求める教員像」は必ず覚えておきましょう。
④ 書き方のパターンを覚える
論作文には、書き方のパターンがある程度決まっています。簡単に言うと、書き方は一般的な「序論・本論・結論」パターンで OK です。
この書き方を知らない人は、是非とも「20 歳の自分に受けさせたい文章講義」を読んでください。
文章を書くコツ・エッセンスが全て詰まった本です。
私は当メディアの記事を書くようになってから、この本と出会いましたが、今までの人生で教わったことのなかった「文章の書き方」を学ぶことができました。もっと早く出会えればよかったと後悔しています。
なお、論作文の詳しい書き方は「【教員採用試験】論作文の書き方はこれで決まり!【ポイントの解説】」を参考にしてください。
⑤ たくさん書く
次の内容を意識しながら、書く練習をしていきましょう。
- 序論・本論・結論の構成で書く
- 教職への熱意を込める
- 教師として、自分が取り組む具体的な対応策を書く
文章を書くには 「慣れ」が大切です。初めは書くのが下手でも、書いていくうちにコツを掴んでいき、上達します。
また、論作文を書く練習をたくさんしていくうちに、教員でしか体験できない教育課題を疑似体験することができます。つまり、書く練習をしながら学校のさまざまな課題を知ることができるのです。
書き方のパターンを覚えたら、どんどん書く練習をこなしましょう!
⑥ 添削を受ける ➡︎ 書き直す
書いた論作文は、他の人に添削してもらいましょう。他の人に見てもらう利点は次の通りです。
- 自分では気づけない「誤字・脱字」を指摘してもらえる
- 自分の視点にはない「アイデア・アドバイス」をもらえる
添削してもらうと「これってどうゆう意味?」と聞かれることがあります。
その質問に、たまにイラッとくることもありますが、それだけ自分の文章は相手に伝わっていないということです。そしてそれは、自分では絶対に気づけません。なので、出来上がったものは必ず誰かに見てもらいましょう。
現在大学生であれば、大学の教授・キャリアセンターの職員・高校の恩師などにお願いするといいと思います。
現在講師として現場で働いている人は、校長先生や教頭先生に見てもらうことをおススメします。管理職の中には、元試験官という方もいますので、そういった人からアドバイスをもらえると強力ですね。
添削を受けたものは、後でもう一度書き直しましょう。そうやって書き方のパターンを、頭の中にだんだんとすり込ませていくことが大切です。
実際の出題例(過去問より引用)
どのような論作文の問題が出題されたのかを、少しだけ紹介します。ご参考までに。
①【東京都 小学校全科以外 (平成 29 年)】(70 分)
A 次の記述を読み、下の問題について、論述しなさい。
年度初めの職員会議で、教務主任から、「昨年度、学校で独自に実施した生徒対象の学習に関する調査の、『授業中に自分の考えを表現することができた。』の項目で、『できなかった』の回答が多くありました。また、各教科の教科主任からも、自分の考えはもっているものの、それを的確に表現できない生徒が多いという報告を受けています。そこで、今年度、各教科の指導において、『自分の考えを的確に表現する力を育む。』を重点事項にしたいと思 います。」と報告があった。 職員会議終了後、指導教員からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
[問題]
指導教員の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ 10 行(350 字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識やまとめなどを含めて、全体で 30 行(1,050 字)以内で述べなさい。ただし、26 行(910 字)を超えること。
②【神奈川県 高等学校 (平成 29 年)】(60 分)
[問題]
平成 28 年 12 月に示された中央教育審議会答申で示されている「知識の量を削減せず、質の高い理解を図るための学習過程の質的改善」に向けた取組として、どのようなことが求められていますか。また、このことを踏まえて、あなたは高等学校の授業において学習過程の質的改善に向け、どのように取り組みますか。あなたの考えを 600 字以上 825 字以下で具体的に述べなさい。
③【茨城県 小学校/中学校 (平成 29 年)】(60 分)
[問題]
これからの時代を生きる子どもたちを育むためには、教員として、常に自分自身の専門性と人間力を磨き続けていくことが大切です。あなたは、教員として、このことをどのように考え、どのように取り組んでいきますか。具体的に述べなさい。(600~800 字)
見るとわかりますが、各自治体で傾向・形式が少し異なりますね。
過去問から見えてくるテーマ
しかし、テーマはどこか共通なところがある気がしませんか。新学習指導要領へと変わることが関係しているのだと思います。
論作文のテーマは、教育時事と絡むこともあります。ホットニュースには常に目を配らせ、それに対する自分の見解を持っておく必要があります。
論作文対策で超オススメの本(参考書)
上記の過去問を実際に読んで、ほとんどの方が「何も書けない気がする…」と感じたのではないでしょうか。それもそのはずです、あなたは未だ論作文の書き方を知らないのですから。
そこで、私含め、教員採用試験に合格した同期が論作文対策で愛用していた参考書を紹介します。大体みんな同じ参考書を使っていたので、下のどれかを選べば間違いないはずです。
教員採用試験 差がつく論文の書き方
論作文試験の概要説明から始まり、書き方のコツ、さまざまな教育課題に対するまとめ、取り上げるべきポイントなど、1冊に全てがまとまっています。 この1冊があれば、論作文対策はバッチシです。
手取り足取り特訓道場 合格する論作文
いろんなテーマの模範解答例が収録されています。 書き方がわからない人は、まず模範解答を書き写しながら、コツを掴むといいかもしれません。 そういう方にぴったりな本です。
20歳の自分に受けさせたい文章講義
この本は私が社会人になってから出会い感動した1冊です。文章を書くためのコツが全てまとめられています。 論作文で必要な「序論・本論・結論」という考え方も、しっかりとこの本で解説されています。 ぜひ参考にしてほしい1冊です。
WRITTEN BY
りっすん@英語教師
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