高大接続改革とは?何が変わるのか、分かりやすく説明します
- 2020 年から大学入試が変わるって言われているけど…
- そもそも『高大接続改革』って何?
- 今さら他人には聞きづらいな…
こういった悩みにお答えします。
この記事では、散々話題になっている「高大接続改革」についてまとめます。
教育現場でも、高大接続改革に向けて少しずつ変化が起きていますが、教育界で変革が起こりつつある一方で、教員ですらよくわかっていない現状が続いています。
しかし、教員として少しでも最新の情報は知っておきたいところですよね。
そこで、高大接続改革の内容をざっくり説明します。
- 高大接続改革とは?
- 高大接続改革の導入の背景
- 高大接続改革のポイント…何が変わる?
高大接続改革とは?
下の図は、文部科学省のホームページからの抜粋です。
グローバル化の進展、技術革新、国内における生産年齢人口の急減などに伴い、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要とされています。高大接続改革においては、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて学力の 3 要素を確実に育成・評価する、三者の一体的な改革を進めることが極めて重要であるとし、これらの改革に向けての取組みを着実に進めています。 (出典:文部科学省)
わかりづらいので、簡潔にまとめますと、次の通りです。
高大接続改革とは…
① 高校での教育 ② 大学入試 ③ 大学での教育
これらを3者1体として、高校から大学までの教育を一体的に改革するもの
高大接続改革の導入の背景
激動社会の到来
- 情報技術の進歩・人工知能技術 AI の発達により、今日の職業の在り方が将来大きく変わる可能性
- 少子高齢化がもたらす働き手(生産年齢人口)の急減や労働生産性の低下
- グローバル化と働き手(生産年齢人口)減少による外国人労働者の増加
これからの子ども達は、AI にも外国人労働者にも負けないように、自分たちの手で新しいものを作り上げていく力が必要になってきています。
日本の国際競争力の低下
これから訪れる激動社会の中で、日本の国際競争力が低下していくという懸念があります。世界大学ランキングを見てみましょう。
下の表は世界の大学ランキングのうち、日本の大学のみ抜粋した表です。
(出典:https://resemom.jp/article/img/2017/09/05/40203/179984.html)
世界の大学ランキングとは、① 教育力、② 研究力、③ 研究の影響力(論文の引用数)、④ 国際性、⑤ 産業界からの収入から、大学の総合力を決めるものです。
世界大学ランキングの東京大学に着目しますと、6 年間の間に順位が23位から過去最低の46位まで低落しています。その他、名のある大学のほとんどで、ランキングの推移が低下しているのがわかります。
大学の力が落ちると、例えば次のような問題が生まれます。
- 優秀な日本人学生の流出
- 優秀な外国人留学生の流出
日本の大学に魅力がなくなれば、日本の学生および海外からの留学生は、海外の大学に流れていくでしょう。このままでは、日本の大学から優秀な生徒が消えていきます。
そうなると日本は将来的に、国内の戦力を大幅に失うことにつながります。
日本人が激動社会で生き抜くためにも、日本が国際社会で競争力をもつためにも、これからの時代に通用する力を育てる教育システムへ変える(改革する)必要があります。
急激に変わる社会に対応する力が必要
↓
「確かな知識・技能」
「思考力・判断力・表現力」
「自ら他者と協力して学ぶ姿勢」
が必要
↓
センター試験を廃止、新テストの導入
↓
高校教育、大学入試、大学教育に学力の3要素の育成・評価を取り入れる
これからの社会で生き抜くために『学力の3要素』
これからの社会で生き抜くために、教育を通じて『学力の3要素』を養成する必要があると文部科学省は考えています。
- 基礎的・基本的な知識・技能
- 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力
- 主体的に学習に取り組む態度
「授業で知識をしっかりと身につけよう」「その知識を元に、自分で考え・判断し・表現をしよう」「他の人と協力して、自ら進んで学習に取り組もう」ってことですね ♪
実は小・中学校では、これがある程度機能しています。 問題は高校です。現在の高校教育では、学力の3要素を育てるための授業にまで至っていません。
その原因が、現在の「大学入試」のスタイルにあります。
今の「大学入試」は、知識重視です。 「学力の3要素」を重視した入試方法ではありません。そのため、高校の教育現場でも「知識のインプット」にウエイトがかかり過ぎている現状があります。
結果、生徒の思考力や主体性を軽視した授業を展開してしまっているのです。
したがって、今の「大学入試」を変えなければ、高校教育・大学教育も変わらないだろう、ということから、高大接続改革の必要性がうたわれ始めました。
今後の展望
「大学入試」を変え、高校・大学の「教育」も変える。
知識重視から、学力の3要素重視の改革へ。
高大接続改革のポイント…何が変わる?
高大接続改革で変わるポイントをまとめます。
- 知識重視から、学力3要素が求められる入試へ
- センター試験 → 大学入学共通テストへ
- 推薦・AO 入試
- 高校の授業スタイル
① 知識重視から、学力3要素が求められる入試へ
どの入試でもスタイルが大きく変わります。簡単に言えば...
知識重視入試 → 多面的・総合的に評価する入試
今までは知識を覚えているかを判断するテストでしたが、より深い思考力が求められる試験へと変わります。
英語においては、本格的に4技能テストの導入が行われます。
② センター試験 → 大学入学共通テストへ
センター試験が廃止となり、大学入学共通テストが新しく導入されることになります。
初回実施は 2020 年度(つまり 2021 年 1 月の入試から)です。 完全移行は 2024 年度(2025 年 1 月の入試から)です。
[[simple | 変更されるポイント]] | - 国語/数学の2教科で「記述式問題」が3題ずつ出題
(マークシート式に記述式問題が導入) | - 英語試験の廃止 → 民間の資格/検定試験に移行【4技能試験】
(ただし、2023 年度までは大学入試センターが作問し共通テストとして実施する試験と、民間の資格・検定試験の両方が用意され、各大学はいずれか or 双方を利用できます。) | - 他教科にも、いずれ記述式問題が導入予定
大きな変化として、「記述式の導入」「英語試験の廃止」です。それぞれの教科で、マークシートだけでは判断できない、思考力が問われる問題が出題されるようになります。
なお、新テストで使用できる英語の外部試験には限りがあります。
英語外部試験については、以下の記事も参考にしてみてください。
③ 推薦/AO 入試
推薦/AO 入試にも、さまざまな変化が見られます。
- 「推薦入試 → 学校推薦型選抜」へ変更
- 「AO 入試 → 総合型選抜」へ変更
- 国公立でも推薦/AO 入試が始まる・・・合格者数の定員 30%まで広げる
- 大学入学共通テストの受験を義務化【英語:外部検定試験の受験が必要】
- e ポートフォリオの導入
推薦/AO 入試では、今まで学力試験などを免除しても OK でした。なので、主に面接・小論文などで合否が決められていました。
2020 年からは、大学入学共通テストの受験が義務づけられます。特に、英語は外部検定試験を受けなくてはいけなくなるでしょう。
「早く合格しても、勉強は続けましょう」となるわけですね。しかし、今までよりも推薦・AO 入試で合格のチャンスを広がることは間違いありません。
多面的総合的評価を重視した入試スタイルが拡大するので、e ポートフォリオを導入する大学が増えるでしょう。
④ 高校の授業スタイル
高大接続改革は、教員の授業スタイルを変えるための改革でもあります。そのため、教育現場では、一方向型授業から双方向型授業へ変えていかなくてはいけません。
「一方向型授業」
先生:知識を教える 生徒:黙って聞く、ノートに写す
「双方向型授業」
先生:発問を与える 生徒:誰かと話す・協力する・自分たちで答えを見つける
これからの高校の授業は、教育現場で話題になっている「アクティブラーニング」に変わっていきます。また、教師もこのスタイルに合わせて変わっていく必要があります。
下の動画はアメリカ・ハーバード大学の有名な講義ですが、まさにこれが「双方向型授業」です。 このような「答えのない問題に取り組ませる授業」を、私たち教員は展開することが求められてきます。参考になると思うので、ぜひ見てみてください。
(字幕をオンにすることで、日本語字幕を見ることができます)今の高校1年生は高大接続改革の影響を受けます
高大接続改革はすでに、2年後に迫っています。
高大接続改革の中でも、大学入試システムが変わるという点が学生にとって大きな問題ではないでしょうか。
なので、高校1年生には、今からコツコツと準備させるよう指導しましょう。具体的には...
- e ポートフォリオの活用(日々の自分の活動を記録)
- 英語外部試験の受験
生徒に日々の活動を記録させ、英語外部試験(特に英語検定)を受検させていくことが大切になってくると思います。
WRITTEN BY
りっすん@英語教師
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