1分で分かる給特法とその問題点【公立教職員のための法律です】
給特法とは何か。
結論を言うと、公立教職員のための法律で、給与や労働に関連してきます。
最近ニュースで「給特法」の文字をよく見かけますよね。
ニュースが出るたびに公立教職員の間で問題になっています。
小学校の男性教諭が残業代の支払いを求め埼玉県を提訴
月平均でおよそ 60 時間の残業をしているにも関わらず、労働基準法が定める残業代が支払われていないとして、埼玉県内の公立小学校に勤務する 59 歳の男性教諭がおよそ 240 万円の残業代の支払いを求めて県を相手取り提訴しました。
訴えによりすまと、県内の公立小学校に勤務する 59 歳の男性教諭は、去年 9 月からことし 7 月末までに学校行事の準備や生徒のノートの添削などで月平均およそ 60 時間の残業があったとして、時間外労働に対する未払い賃金として県に 240 万円あまりの支払いを求めています。
公立学校の教員は国が定める給特法=「教育職員の給与等に関する特別措置法」により、基本給の 4%にあたる「教職調整額」が一律で支給されているため時間外勤務手当などは支払われていません。
「給特法」では、校長が教員に対して校外学習や職員会議など臨時、または緊急のやむを得ない業務以外の時間外勤務を命じることを禁止しています。男性教諭は「学校からやらなければいけないとされている業務は山ほどある。やっていることは教員の自主性とされ、時間外労働手当は支給されることはないのかを問いたい」と述べています。これに対し県教育局は、「訴状を見ていないのでコメントできない」としています。
引用:Yahoo!JAPAN ニュース
今、職場の運動会飲み会を一寸中座してツィートしている。宴席の場に相応しくないが、給特法の話題を何名かに振ってみた。全員、揃って意味はおろか、その名称・存在も知らなかった。やはりハードルは、限りなく高い・・ pic.twitter.com/kQ3omdcAjK
— しばせん (@shibasen1958) 2018年9月29日
公立の教職員の方にとって重要なテーマのはずですが、給特法について全く知らない方が多くいるように感じます。
今回は給特法について、簡単にまとめることで、給特法についてご理解いただき、「何がいま問題となっているか」をお考えいただきたく考えております。
給特法(きゅうとくほう)とは
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称
給特法(きゅうとくほう)とは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)」の略称です。
文字から分かる通り、公立学校の教職員の給与(+勤務条件)に関する法律ということです。
給特法の給与に関する内容(条文引用)
給特法第3条および第3条2項です。
第三条 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。
> 2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。
給特法で定めれている内容は、こういうことです。
- 教職員は、時間外勤務手当および休日勤務手当が支給されない
- その代わりに、給料の4%を教職調整額が支給される
教職調整額を4%にした理由(歴史)
文部科学省のホームページから、教職調整額を4%にした理由が確認できます。
ここで問題となるのは、教職調整額を決定する時に調査した残業時間と、現在の公立教職員の残業時間に大きな差はないかという点です(教職調整額は現在の公立教職員の労働状況に見合っているのか)。
時間外勤務とは何か:超勤4項目のことです
公立教職員は給料の4%(教職調整額)をもらえる代わりに、時間外勤務手当をもらうことができません。
それでは、時間外勤務とは何を表すのでしょうか。
給特法第6条を引用します。
第六条 教育職員(管理職手当を受ける者を除く。以下この条において同じ。)を正規の勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成六年法律第三十三号)第五条から第八条まで、第十一条及び第十二条の規定に相当する条例の規定による勤務時間をいう。第三項において同じ。)を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。
ここで大事な点は、
「正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする」という一文です。
つまり、 「残業させたいなら、政令で定める基準に従ってね」 ということです。
では、政令で定める基準とは何でしょうか。それは、<公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成十五年政令第四百八十四号)のことです。
内閣は、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十五年法律第百十七号)の施行に伴い、及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)第六条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、この政令を制定する。
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(以下「法」という。)第六条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 教育職員(法第六条第一項に規定する教育職員をいう。次号において同じ。)については、正規の勤務時間(同項に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務(正規の勤務時間を超えて勤務することをいい、同条第三項各号に掲げる日において正規の勤務時間中に勤務することを含む。次号において同じ。)を命じないものとすること。
二 <教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
わかりづらいと思うので、まとめますと、
「適切に勤務時間の割振りを行なってね」
「原則として、時間外勤務(残業)を命じないでね」
「残業させたい場合は超勤4項目に従ってね。それ以外は残業だめよ」
ということです。
「超勤4項目以外の仕事については、残業を命じてはいけない」 の箇所が重要なポイントです。
超勤4項目とは
それでは超勤4項目とは何でしょうか。次の4つです。
- 校外学習
- 修学旅行
- 職員会議
- 非常災害
ここで大事な点は、超勤4項目の中に部活動が入っていないということです。
また、時間外の保護者会や朝の登校指導なども超勤 4 項目に該当しないため、時間外勤務として命じることはできません。
たまに誤解がありますが、給料の4%(教職調整額)は超勤4項目のためのお金です。給料の4%(教職調整額)を貰っているからと、超勤4項目以外の残業を命じることはできません。
給特法とそれに関連する内容のまとめ(+問題点)
以上をまとめますと、
- 給特法は公立の教職員のための法律で、給与や勤務体制に関する決まっている
- 時間外勤務(超勤4項目)および休日勤務手当は支給されない
- その代わりに給料の4%(教職調整額)が支給される
- 超勤4項目は、① 校外学習、② 修学旅行、③ 職員会議、④ 非常災害であり、部活動や時間外の保護者会、朝の登校指導のための残業を命じることはできない
- 労働時間の長短に関係なく支給される教職調整額(給料の4%)の値は適切か
文部科学省の対応
給特法を見直し(改正)せず、変動労働時間性で対応?
毎日新聞のニュースによると、文部科学省は給特法の問題に対して、変形労働時間制の導入を考えているようです。
変形労働時間制については次回解説しますのでお楽しみに!
WRITTEN BY
りっすん@英語教師
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